【川原健一の調査】パラリンピックを成功に導いた2012年ロンドン大会
こんにちは、オリンピック観戦はお茶の間派になりそうな川原健一です。
ようやく2020年の東京オリンピックが始まろうとしていますね。
東京が開催地に決まった時は全く実感が沸かなかったのですが、時間というのは早いものですね。
さてさて、最近ではオリンピックではなく、パラリンピックの宣伝もよく見るようになりましたよね。
NHKでは「キャプテン翼」や「こちら葛飾区亀有公園前派出所」などとの人気アニメやアーティストとのコラボレーションでパラリンピックを盛り上げる役割をされています。
私川原健一もたまたまこの番組を見たのですが、パラリンピックをよりわかりやすく説明しており釘付けになってしまいました。
しかしどうしてもパラリンピックはオリンピックより制度や種類が多い分、注目度が下がってしまうような気がします。
実際、チケット一次抽選では高倍率だったものの、申し込みに偏りがあったため、用意した２０競技の計約６８万枚のうち半分しか売れなかったと報じられています。
そんな一筋縄ではいかないパラリンピックの注目度向上。
ですが過去十年以内にパラリンピックのチケットを完売させた開催地があるのです。
それは……2012年ロンドン大会！！
観戦チケット約278万枚を完売し、連日各競技場では満員の観客でパラリンピックを沸かせました。
英国パラリンピック委員会最高経営責任者（CEO）のティム・ホリングスワース氏は
「パラリンピック会場に8万人の観衆が集まり、選手が静まるよう求めるなんて、本当にすごいことです。この時、人々は、それまでとは全く別次元のパラリンピックを目の当たりにしたのです」
と話しています。
なぜそれほどまでにパラリンピックを成功に導けたのでしょうか。
【ロンドン大会の成功①：五輪ファーストと捉えない】
ホリングスワース氏によると、大会をパラリンピックと五輪の2つからなる1つのイベントとして捉えることが大事だと話しています。
以前の組織委員会では、まず五輪（オリンピック）を組織・運営し、パラリンピックはその後だったそうです。
「例えば、選手村の部屋は通常、まず健常者向けに作られ、そこから障害者向けに改装されます。ですが私たちは、最初にパラリンピック用に建設し、後に五輪用に改装しました。これにより、選手村の建物には完璧なアクセシビリティーが備わりました。この考え方は物流にも適用し、組織委の運輸責任者は双方を担当しました。何かを五輪用に作った後、それをパラリンピックの担当者に引き継ぐというやり方よりも、大会をふかん的に見ることができました」
とホリングスワース氏は振り返ります。
【ロンドン大会の成功②：民放にパラリンピック放映権】
ロンドン大会では伝統的なホスト局『BBC』ではなく、イギリス民放局の『チャンネル4』とYouTubeに与えたことが成功に繋がったそうです。
これはロンドン大会の組織委員会では最も勇気ある決断を下したといいます。
五輪はBBCが放映したのですが、チャンネル4はパラリンピックの放映権を900万ポンド（約13億円）という破格の値段で買い取りました。
組織委員会は、YouTubeとチャンネル4の革新的な番組制作手法や、企業が支援を広告で表明できる点などにも、大きな魅力を感じていたといいます。
【ロンドン大会の成功③：お手頃チケット】
お手頃な値段設定も成功のひとつと考えられます。
チケットが「お手ごろ」（半数が10ポンド以下、95％が50ポンド以下）だったことが、結果なんと家族連れのグループが多かったと言います。
また、倍率の高い五輪のチケットを入手できず、テレビ観戦していた人々が来場したことも大きな一因です。
【まとめ】
競技会場が満席になった理由は様々あるとホリングスワース氏は分析されていますが、色々な努力・改革があってこその成功だったと私は考えられます。
また、この盛況によりロンドンではよりバリアフリー化の意識を高める運動に取組みはじめたそうです。
一時の成功だけでは終わらせないロンドンに脱帽ですね。
大変勉強になりました。
